■男子寄宿舎での白熱ゲーム

その35<(洗髪+焼きジャガイモ+男子寄宿舎での白熱ゲーム)=ナムチェの平和な夜?>から

 映画を思い出しながら、火にあたって冷えきった身体を温めていると、木をくべていた男の子の一人がストーブの下についている小さなドアを開け、鉄の火かき棒で何か取り出しました。ごろごろごろ…ところげ落ちたのは、こんがりと焼けたじゃがいもでした。

ひとつ取って私の手にのせてくれましたが、熱くて火傷しそうです。あちちちちっ! 我慢して皮を剥き、ふ〜ふ〜と吹きながらかじりつきました。塩も何もつけずに食べるのですが、これがほくほくとしていて、香ばしくて、もうたまりません! ジュンベシで食べた小さな里芋を思い出しまし。(その27参照)Mも無言でほおばっています。

じゃがいもがこんなにおいしかったなんて!!

一方、「焼きじゃが」に夢中になっている私たちの後ろにあるテーブルでは、男子寄宿舎のようなこのゲストハウスの住人たちが別のことに夢中になっていました。時々歓声も上がり、かなり盛り上がっています。「焼きじゃが」より男の子たちからの人気を集めていたのは、「キャロム・ボード (Carrom Board)」という遊びでした。

通常二人でプレーするこのゲームを私が初めて見たのはイタリアのトスカ二ーでした。こたつの上に乗せるような1m x 1mくらいの大きさの正方形の板の表面には、丸や線が書いてあります。そこにオセロのチップのような円盤形の駒をのせ、それらをぶつけあって遊ぶのですが、実際にプレーしていない私には、遊び方をここでうまく説明できません。


Photo by C. Matsumoto


Photo by C. Matsumoto

キャロム・ボードは、アジア諸国、特にインド、スリランカ、ネパールなどで人気があるようですが、世界の様々な地域でもマニアは多いようです。もっと詳しく知りたい方はhttp://www.carromjapan.com/を覗いてみてください。国際キャロム連盟なんてのも存在するようです。

さて、話をナムチェに戻しましょう。ゲームが白熱しているのは、お金をかけてプレーしているからでしょうか。ダンバーはかなり「賭け事好き」みたいで、我を忘れてプレーしていました。山を登っている時よりずっと真剣な表情。そのうちまだこのゲームをやったことがないMを誘って、遊び方を教え始めました。Mもまんざらではないようで、男のたちと一緒に笑いながら楽しんでいました。

窓から見える山々のシルエット。
山に降り積もった雪の白さ。
日が沈んで暗くなり始めた群青色の空。
真っ赤に燃えているストーブの火。
焼きじゃがのこんがり焼けるいい匂い。
キャレム・ボードをプレーする男の子たちの笑い声。

外出禁止令が出されて物騒だなんていう雰囲気はまったく漂っていない、一見平和そうに見えるナムチェの夜は静かに更けて行きます。

えっ? 今日は何も起こらなかったから、つまらない?

まあまあ。いくら「ダ・ピンチ」だからって、毎回何か起こってたら大変ですよ。こういう平和な日があってもいいじゃあありませんか。

(注)このページは、作者の許諾を得て「ちあき・ダ・ビンチ」に紹介された記事の一部  に画像を添付したものです。

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