第3回ワールドカップのレポート

  第3回ワールドカップは、2010年9月27日〜10月1日に、アメリカのバージニア州で行われた。会場は、州都リッチモンドから南に約20kmのチェスターという町にある「インド文化センター」。ホテルはチェスターのインターチェンジ近くにある「ホリディー・イン・エクスプレス」で、ここにプレーヤーとスタッフ全員が宿泊した。会場のインド文化センターはホテルから西に約10kmの場所だ。朝の7時45分と8時15分の2回、小型バスやスタッフの車がホテルから出る。これに分乗して会場に向かう。朝は通勤ラッシュで車が多く、ホテルから会場まで20分ほどかかった。


  27日(月)の午前、開会式に合わせて会場入り。アメリカでの開催は、国によってはビザの問題があり困難であることはあらかじめ予想していたが、さらに財政的な問題で来られない国もあり、参加国は過去の国際大会の中では少ないものだった。アメリカのほかは、インド、モルジブ、イギリス、ドイツ、バングラデシュそして日本である。

27日   ダブルスの予選(男子・女子) 
28日   男子ダブルス決勝(男子・女子)、シングルス予選リーグ(男子・女子)
29日   シングルス予選リーグ(男子・女子)、シングルス決勝((男子・女子)
30日   スイス・システムによるシングルス(混合) 
1日   USオープン(男女混合)

【奮戦記】
 27日の男子ダブルス第1試合は、いきなりシングルスの世界チャンピオンであるインドのパルデシの組。それもボードの真上にインターネット中継のためのテレビカメラが設置され、明るい照明が当たっている1番ボード。対戦相手がいきなり世界チャンピオンなので、かなり動揺する。
 わずかなショットミスや戦略のミスがあると、世界チャンピオンチームは、すぐにそこを突いてくる。おまけに、パウダーが化学系のボリック(ホウ酸)でポテト・スターチとはストライカーの動きが異なり、日本で練習してきた成果をなかなか生かすことができない。インドのプレーヤーに遜色ない力を持つと思われる日本ペアのUさんも、初めてのインターナショナル・トーナメントで緊張しまくり。結果、日本は試合運びは決して悪くなかったものの、得点には結びつかなかった。


 ダブルス第3試合の対戦相手は、アメリカのナラヤナン/プラカシュ組。ナラヤナンは70代の最高齢のプレーヤーで、そのゲーム運びは老練な紳士に相応しい渋いものだ。日本チームがブレークに失敗し、アメリカチームに攻撃権が移動。プラカシュがブラックのコインを次々とポケットに入れ、クイーンもカバー。残りのコインが1個になった時、ナラヤナンが「それを落としたらブラック・スラムだ!」と声をかけた。それを聞いた途端、プラカシュはガチガチに緊張して震え出し、最後のコインを外してしまった。
 (注)試合中に声を出すのは、明らかにファール。しかし今回は審判もつかず、結果的にはパートナーにプレッシャーをかけたことになったので黙認した。


【三度の飯より】
 朝、ホテルを出て再びホテルに戻ってくるのは、夜の10時か11時。試合はどうしても遅れがちで夕食の時間が遅くなり、スタッフの仕事が片づいてから、プレーヤーの送迎が行われるからだ。朝早く会場入りしても、試合や食事の待ち時間があったりして、空き時間は意外に多い。多くのプレーヤーは空いた時間には相手を見つけて練習をしている。この会場に集うのは三度の飯よりもキャロムが好きな人間ばかりである。

【論文締め切り】
 ドイツからただ1人で参加しているトマスは、進化生態学の研究者だ。アメリカに来てから彼のキャロムは絶好調。ドイツではポテト・スターチで練習しているはずなのに、くせのあるボリック・パウダーをものともしない。ワールドカップが終わる日までに研究論文の提出があるとのことで、キャロムの練習をしていない時は玄関わきのソファーで自分の論文の校正をしている。小柄なトマスだが、そのエネルギーには感心させられた。


【キャロムはインド】
 30日に行われたスイス・システムの男女混合シングルスは、翌日のUSオープンの参加資格を争うものでもあった。上位16位までがUSオープンに出場できるからだ。この16人と、ワールドカップに参加しなかったアメリカのプレーヤー16人が、スイス・システムで対戦する。結局、USオープンに出場した32人は、インド人とインド系アメリカ人、インド系イギリス人でまさにインド人の祭典となった。


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